医療英語試験「OET」とは? 試験内容や2024年の受験情報を解説

OETとは? 試験内容や変更点を徹底解説

こんにちは、SOLOのルークです!医療従事者の方に、OETを教えています。

今回の記事では、医療英語試験「OET」の試験内容や2024年の受験情報を解説します

なお、情報量が多いので、見出しを参考にして必要な情報だけを読んだ方が楽だと思います。それでは詳しくみていきましょう。

OETとは?試験内容を確認

まずは、OETのテスト概要を確認します。

名称Occupational English Test
試験内容医療分野におけるコミュニケーションや医療トピック
試験時間リスニング:40分
リーディング:60分
スピーキング:20分
ライティング:45分
スコア各セクション500点満点
合格スコア各セクション350点以上(B Grade以上)
受験料587AUD(約56,900円 ※1AUDを97円とした場合)
公式ウェブサイトhttps://www.occupationalenglishtest.org/

OETとは、Occupational English Testの略で、医療従事者向けの英語試験です。一般的な英語試験と同じで、OETも4技能に分けて総合的に英語力を算出します。

OETは、英語が母語ではない医療従事者が、実際に海外で働くことができる英語力があるか」を測定することを目的とした英語テストです。

実際に医療現場で起こるコミュニケーションや、医療に関連するトピックを中心にテストが構成されています。

リーディングとリスニングは、全ての受験者が同じ試験を受けます。一方で、ライティングとスピーキングは、申請する医療分野ごとに違うテスト内容になるので対策には注意が必要です。

一般的な日本人受験者にとっては、リスニングとスピーキングが難しく、リーディングとライティングが比較的合格点に達しやすいです。

合格スコアは提出先により異なりますが、一般的には350点(B Grade)であることが多いです。

OET350点(B Grade)の難易度は、「IELTS 7.0」又は「TOEFL 100点」と同程度とされています。IELTSやTOEFLに比べると、ライティングとスピーキングの出題範囲が限定的なので対策はしやすいですが、合格には高い英語力を求められます!

対応している職種

OETは、主に医療現場で使う英語力を測定するテストで、対応する職種が決まっています。

以下が職種の一覧です:

  • 医師:Medicine
  • 看護師:Nursing
  • 歯科医:Dentistry
  • 栄養士:Dietetics
  • 薬剤師:Pharmacy
  • 検眼士:Optometry
  • 作業療法士:Occupational Therapy
  • 獣医師:Veterinary Science
  • 足治療医:Podiatry
  • 理学療法士:Physiotherapy
  • 療言語聴覚士:Speech Pathology
  • 放射線技師:Radiography

対応している職種はとても多いですが、受験者の内訳をみると「看護師:Nursing」が7割以上で、「医師:Medicine」が残りのほとんどを占めています。

2020年8月から、USMLE STEP2 CS の代用試験としてOETが採用されました。その影響から、”OET Mdeicine” の受講者数が、増加傾向にあります!

対応している国

2024年2月の時点で、OETは以下の国で、英語力証明として認定されています:

  • アメリカ(一部)
  • カナダ(一部)
  • オーストラリア
  • ドバイ
  • アイルランド
  • モルディブ
  • マルタ
  • ナミビア(南アフリカの国)
  • ニュージーランド
  • シンガポール
  • イギリス
  • ウクライナ

上記の国に移住や就職を考えている場合は、OETを利用することが可能です。

希望する国により、一回の受験で全セクションのスコアを満たさないといけない場合と、2回のテストの合算で良い場合があります。

例えば、アメリカは1回のテストで、イギリスやオーストラリアは2回の合算スコアで提出をすることができます。

また、オンライン受験を認めている場合と、そうでない場合があります。必ず各国のウェブサイトから確認をしましょう。

アメリカとOET

2022年3月より、アメリカではUSMLEのStep2 CSが廃止されて、OETが採用されています。

USMLEでは、OETのRLSセクションで350点、Wセクションが300点以上取得できると合格扱いとなります。

看護師登録に関しては、現在7つの州でOETが活用できます。各州によってスコアの要件が異なります。これらの州では、IELTSかTOEFLでの代替受験が可能です。

実際に、私がご相談にのる看護師の方の大半は、TOEFLで対策を始められている方が多いです。しかし、TOEFLはスピーキングが26点(30点満点)と設定されており、難易度は高いです。

また、看護師登録ではOETが活用できない州でも、その後のグリーンカードを含む、ビザの申請でもOETの活用が可能です。

OETの難易度

ここからは、OETの難易度を各セクション別の見ていきます。

リスニング

リスニングの試験構成は、以下のようになります:

  • 試験時間:約40分
  • セクション数:3
  • 問題数:42問

特定の専門分野ではなく、一般的な医療関係に関するトピックが中心で、音声は全て一度だけ再生されます。

続いて、各セクションの概要を見ていきましょう:

  • セクションA:医療相談に関する内容
  • セクションB:医療現場に関する内容
  • セクションC:プレゼンテーションに関する内容

それぞれ詳しく説明していきますね。

セクションA:医療相談に関する内容

セクションAでは、「医者と患者との対話から重要な情報を読み解く力」を測定します。5分程度の対話が2つ流れ、いずれも処方メモを完成させるために必要な情報を付け加えていきます。

セクションAでは1語1句聴き取る力が必要です。ここで20問程度正解することがリスニングセクションで合格するポイントになります!

セクションB:医療現場に関する内容

セクションBでは、「実際の医療現場のコミュニケーションから要点を理解する力」を測定します。

1分程度の音声が6つ流れ、複数の選択肢の中から最適なものを選びます。

セクションC:プレゼンテーションに関する内容

セクションCでは、「幅広い医療トピックに関する理解力」を測定します。

5分程度の音声が2つ流れ、複数の選択肢の中から最適なものを選びます。

リスニングは、OETで最も難易度の高いセクションです。豪州英語になれるまでに時間がかかること、音声変化が多くおこることが難しい原因です。一方で、海外勤務においてリスニングは死活問題ですので、良いトレーニングになります

リーディング

リーディングの試験構成は、以下のようになります:

  • 試験時間:約60分
  • セクション数:3
  • 問題数:42問

特定の専門分野ではなく、一般的な医療関係に関するトピックが中心です。続いて、各セクションの概要を見ていきましょう:

  • セクションA:速読に関するタスク
  • セクションB・C:精読に関するタスク

それぞれ詳しく説明していきますね。

セクションA:速読に関するタスク

セクションAは、「短い文章から特定の情報をすばやく効率的に見つける能力を評価」します。

4つの短い文章を読み、15分間の間に20問の質問に答えます。1問あたり45秒しかかけられません。時間内に回答できないものは、潔く捨てる勇気が必要なセクションです。

セクションB・C:精読に関するタスク

セクションBでは、「文章の要点を理解する能力」を評価します。医療に関する100字から150字程度の文章を6つ読み、複数の選択肢の中から最適なものを選びます。

セクションCは、より長い文章の「要点を理解する能力」を評価します。800字程度の文章を2つ読み、複数の選択肢の中から最適なものを選びます。

ライティング

ライティングの試験構成は、以下のようになります:

  • 試験時間:約45分
  • セクション数:1
  • 問題数:1問

それぞれの職種に合わせた関連テーマのライティングを行います。タスクは主に、「推薦状」を書くことが中心になります。

リーディングと並んで、最も合格点に到達しやすいセクションです。海外で医師として働く場合も臨床レターを書く機会は多いので、非常に役立ちます。

スピーキング

スピーキングの試験構成は、以下のようになります:

  • 試験時間:約20分
  • セクション数:1
  • 問題数:2問

OETのスピーキングテストは独特で、面接官とのロールプレイを行います。

それぞれの職種に合わせたシチュエーションで、面接官は「患者」や「クライアント」「親族」として受験者に合わせて、一緒にロールプレイを5分程度おこないます。

セクションとしての難易度はそこまで高くありません。一方で、「自然なコミュニケーション」を重視しており、広義の意味での発音(ストレス・イントネーション・テンポ)が大切になるため苦手意識をもつ方が多いです!

OETのサンプルテストは、下記の公式サイトより受けることができます。気になる人はぜひ見てみてください。

OETの受験情報

次に、OETの受験情報を、「日程、会場、申込み方法、自宅受験」の順に、それぞれ紹介します。

テスト日程

以下、OETコンピューター版の2023年度テスト日程です:

  • 2024年2月21日(水)
  • 2024年2月22日(木)
  • 2024年2月23日(金)
  • 2024年2月24日(土)
  • 2024年3月6日(水)
  • 2024年3月7日(木)
  • 2024年3月8日(金)
  • 2024年3月9日(土)
  • 2024年3月20日(水)
  • 2024年3月21日(木)
  • 2024年3月22日(金)
  • 2024年3月23日(土)
  • 2024年4月3日(水)
  • 2024年4月4日(木)
  • 2024年4月5日(金)
  • 2024年4月6日(土)
  • 2024年4月17日(水)
  • 2024年4月18日(木)
  • 2024年4月19日(金)
  • 2024年4月20日(土)
  • 2024年5月1日(水)
  • 2024年5月2日(木)
  • 2024年5月3日(金)
  • 2024年5月4日(土)
  • 2024年5月15日(水)
  • 2024年5月16日(木)
  • 2024年5月17日(金)
  • 2024年5月18日(土)
  • 2024年5月29日(水)
  • 2024年5月30日(木)
  • 2024年5月31日(金)
  • 2024年6月1日(土)

コンピューターでの受験日が大幅に拡大されました。

従来のOETは、土曜日のみ受験が可能でした。現在は、平日の受験も可能です。

大阪でのペーパー受験は、引き続き土曜日のみの受験です。

日本のテスト会場

会場の情報は以下の通りです:

会場名:UK Plus Osaka / PROMETRIC Osaka / PROMETRIC Tokyo
受付8時から8時45分

いずれの日程も8時から8時45分の間に会場に入る必要があります。余裕を持って会場に到着するようなスケジュールを組みましょう。

OETは従来はペーパー試験でしたが、現在はコンピューター試験が導入されています。東京では、御茶ノ水ソラシティ会場にて、コンピューター試験のみが受験可能です。

大阪では、ペーパーとコンピューターの双方で受験が可能です。東京では、ペーパーは受験できないので気をつけてください。あらかじめ証明書を提出する機関がコンピューターベースのOETでも可能か確認しておきましょう。

ペーパーとコンピューターの違い

次に、OETペーパーとコンピューターの違いです。

基本的には、ほとんどの人にとってはコンピューターの方が圧倒的に回答しやすいです。

リーディングはコンピューターの場合、左側にパッセージ、右側に問いが用意されており、非常に見やすいです。パッセージの本文に、ハイライトを付けることもできます。

一方で、紙の場合、冊子内での情報の行き来が慌ただしくなります。ペーパーを受験される場合は、一度PDFをプリントアウトさせての練習を推奨します。

リスニングは、コンピューターの場合、ヘッドフォンを装着できます。音漏れしないので、聞き取りやすいです。ペーパー受験の場合は、そうではありませんので、練習からヘッドフォンなしでの回答を心がけて下さい。

また、リーディング&リスニングのペーパー試験の選択問題は、問題用紙の選択肢の左にある番号を鉛筆で塗りつぶす形式です。(解答用のシートはありません)

ライティングは、ペーパー試験の場合は手書きですので、回答に時間がかかりますし、大きな修正もしづらいです。こちらも、練習から時間制限をかけての手書きライティングの練習が必要です。解答用紙は、見開きタイプの2ページ分の用紙が配られるので、基本はその範囲内でおさまります

スピーキングは、コンピューター試験の場合はZOOMを使用します。OETの場合は、練習でもオンラインで対策をされる方が多いかと思います。ペーパー試験のように、いきなり目の前に試験官が現れると、緊張される方がいるようです。

また、スピーキングでは、時計は持ち込みできません。しかし、時間の確認の有無は試験官によります。大阪では、基本は時間確認ができません。ブリスベンで受けた方は、試験官がタイマーを見せてくれたそうですが、ブリスベンで2回目受験した際の試験官は、みせてくれなかったようです!

OETの申込み方法

OETの受験申し込みは、専用のポータルサイトに登録する必要があります。

OET申し込み専用のポータルサイト スクリーンショット

“Register” をクリックして、必要な情報を全て入力する必要があります。登録時に必要なものは以下の3点です:

  • 01. クレジットカード
  • 02. 証明書用の顔写真
  • 03. パスポート

OET Homeについて

2020年9月末から、オンラインで受験できるOET Homeの試験導入が始まりました。以下に簡単な概要をまとめておきます:

受験方法日本では現在利用不可
受験費用同額
対応環境・ウィンドウズ7 以上(MACは不可)
・Google Chrome

2023年9月時点では、OET Homeは日本では受験することができません。

現段階では、OETを受けることができない国のみにおいてOET Homeを利用することができます。

OETとIELTSとの違い

OETと同じように、英語力の証明として利用できるテストで「IELTS」があります。

どちらも総合的な英語力を測定するテストですが、以下のような違いがあります:

  • 違い1. テストの専門性
  • 違い2. 年間のテスト実施日
  • 違い3. テスト受講料

それぞれ詳しくみていきましょう。

違い1. テストの専門性

まずはテストの専門性について、以下のような違いがあります:

  • IELTS:総合的な英語運用能力を測定する
  • OET:医療現場における英語運用能力を測定する

IELTSは英語を運用するシチュエーションに関係なく、総合的な英語力を判断するテスト。

一方OETは、医療現場という限定的なシチュエーションの英語力を判断するテストです。

OETは試験内容で扱うテーマや語彙が、医療現場に特化したものになります!

違い2. 年間のテスト実施回数

テストの実施回数については、以下のような違いがあります:

  • IELTS:年間40回程度(東京会場)
  • OET:年間11回(大阪会場と一部オンライン)

IELTSは東京と大阪を中心に、ほぼ毎週テストを受けることが可能です。

一方で、OETは日本の受験会場が東京と大阪しかなく、2020年でテストを受けられる回数は平均して月に2回のみです。

日本では、2020年10月よりUSMLE受験者や特別な理由がある者のみOETもオンライン受験ができるようになると発表がありました。

シンガポールやオーストラリアなどの居住国によっては、すでに全受験者がオンライン受験を選択できるようになっています。

2022年後半より、OETはよりオンラインでの受験を進めると発表しています。

違い3. テスト受講料

テストの受講料については、以下のような違いがあります:

  • IELTS:25,380円
  • OET:587AUD(約55,000円※1AUDを94円とした場合)

OETの方が割高ですね。

OETとIELTSのスコア換算表

番外編として、OETとIELTSの換算表が以下になります:

OETとIELTSのスコア比較表
OETとIELTSのスコア比較表

ビザ発行に必要になるスコアは、旧形式で「B」新形式で「350-440点」です。

これらをIELTSに換算すると、バンドスコア「7.0 – 7.5」になることが分かります。

バンドスコア「7.0以上」は、一般的に大学院の進学に求められるスコアなので、かなり高い水準であることが分かりますね。

以上が、IELTSとOETの主な相違点でした。

まとめ

最後に、今回の記事をおさらいしましょう:

  • OETは医療現場で働く人向けのテスト
  • ビザ取得に必要なスコアは「B(350点)」以上
  • 2018年8月から内容が変更

今回紹介した情報は、OETの公式ホームページに書いてある情報を参考にしました。

実際に、OETの勉強をはじめて、どのように対策をすれば良いか分からない人などは下記に対策方法をまとめているので参考にしてください。

弊社では、年間250名ほどの医師と看護師へOET指導をおこなっています。以下は、一部の受講生の感想です。

OETは、日本で働きながらでも合格を目指す事が可能です。時間を短縮して短期的な合格を目指したい方や、英語対策でお悩みなどありましたら、遠慮なくご連絡下さい!

記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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